平成の自CP詰め

2019/2/24春コミに置いていたペーパーのテキスト部分のみ

 

【マンキン ハオ葉】
どんな因果があると思う? そんな因果もあるんじゃねえの。双子に生まれた僕たちも、双子と呼ぶにはどうにも歪で不格好だ。数千年の時を過ごした兄と、先ほど生まれた弟が、全く同じであるものか。猫にぐるぐる囲まれて、だらだら雑談をたれ流す兄を見ていた。平和の限りだなあ、と思っても口には出さない。なんの因果か知らないがこの兄を持ち、離れられず人生は進んでいく。なんとかなる。対の存在である弟は笑う。

 

【リボーン 雲骸】
親しくもなんともない。仲がいいなどもってのほか。けれど君と僕の、この間に確かに信頼のようなものが横たわっているのだから変な話だ。それは何に対してでしょう。実力じゃないの。それ以外に、何が。同じソファに座る横顔を眺める。こうしてとなりに座っていると思いの外、居心地がいい。背中合わせに戦うと意外と気分がいい。今日も静かに時間が流れる。親しくもない彼との時間が過ぎる。

 

【隠の王 光俄】
ふと思ったのだけれど、私たちは別々の部屋に住む意味があると思うかい。そう尋ねられた。彼の部屋で彼の洗濯物を畳みながら、台所で煮物が煮えるのを待っている時だ。この部屋は二人で住むには狭いからではないでしょうか。と生真面目に答える。つまり広い部屋ならば二人で住める。そういうことに、なるかもしれません。ね、と頷きながら顔から火が出そうになる。それはどうなんですか、いいんですか。心配事をよそに彼は笑っていた。ついでに結婚してしまおうか。

 

【デュラ 静臨】
延々言葉をたれ流す男の話の一切合切を聞き流していた。一文字でも耳に入れたらぶん投げてしまいそうだ。だが手を伸ばしたところできっと届かない。するりと躱して飛んで跳ねてまた何かを言い始めるのだ。何故向かいに座ったのだったか。ゾゾッと奢りのシェイクを吸い上げる。明日の仕事の確認でもしよう。考えに耽っていると、目の前をナイフの切っ先がかすめた。話くらい聞けないのか。どこかで血管の切れる音が聞こえた。

 

【.hack// ハセエン】
今僕は、僕の世界の全てを奪った人のとなりにいる。どうしてかと言えば、彼が必要だからと言うからだ。そう言って名前を呼んでくれたので、僕はここにいる。僕の世界を奪ったのに、僕が必要だなんてひどい人だ。そして着いて行く僕も大概だ。ロストグラウンドの調査をする彼に付き合ってエリアへ転送される。エンデュランス。と呼ぶ声がする。僕はそれだけでたまらなくなってしまう。ここが僕の次の世界だからだ。

 

【ワンピ ドフ鰐】
今日の賭けはどうする? いつも嫌な笑みを浮かべた男が、向かいでいつもの変な笑い声をあげている。何勝手に話を進めてんだ。こちらはまだ何一つ了承しちゃいない。用が済んだというのに、まだここに座っていてやるだけでも有り難く思えとため息を吐く。尚も男は勝手に話を進める。なら今晩のディナーを賭けよう。そうして始められるチェス。脚を組み直し男を睨みつける。どうしてテメェと飯を食ってやらねえといけねえんだ。

 

【P4 主花】
歩く速さが二人同じだ。手に取るように呼吸が分かる。戦闘に一緒に出ることが楽しくて仕方がない。相棒と呼ばれると心が跳ねる。楽しそうに笑う顔が好き。コンビネーションは最高だと自負している。けれどそれだけでは足りなくなる。もう少しもう少し、もっと全部。こっちを見て。失った恋心は癒えた? そろそろ俺を選んでくれる?そろそろ振り向いて。ずっとを約束してくれ。一年なんてあっという間に過ぎてしまうよ。

 

【P3 綾時×主人公】
僕の半身、僕の世界、僕の好きな人。もうすぐ消えてしまうというのに、この目に一瞬でも多く焼きつけたくてその姿を見詰める。こんなことならもっといっぱい見ておけばよかった。一瞬も目を離さずそばにいたらよかった。まさかこんなに好きになってしまうなんて思わなかった。人間は不便だ。感情が走って走って追い付けない。綺麗な空色が僕を見る。名前を呼ぶ。僕がその名前のただの人間だったなら、どれほどよかっただろう。

 

【ワトリ 遊修】
身長差の分、視線が見上げてくる。左右に揺れながら顔を見詰められる。何かそんなに、おもしろいかな。と考える。そわそわと見つめ返すと急に眼鏡を奪い取られた。隙ありだぞ。と取られた眼鏡が彼の顔の上に乗る。乗っている、と思う。あまり見えずに勿体ない。む、見えん。と可笑しそうな声が聞える。お互い見えないんじゃあどうしようもないなと笑えば、急に視界が戻ってくる。離れた場所にあった顔が、近くに。隙ありだぞ。と声が笑う。

 

【鯖2 憂ヤマ】
人と人外が寄り添って生きるなど無理だ。タワーの頂上から夜景を感慨なく見下ろす。そうだろうか。となりで当の人外が微笑んでいる。だたそういう顔というだけの男だ。期待を口にするわりに人に何も与えず、可能性をと瞳を向ける。その瞳が憎くて憎くて、仕方なくなれたのならばよかった。人類と同じ時間を歩んだ星の男は到底この地上へ落ちてこない。悔しい等とも思いたくなかった。得体の知れぬ感情だけが渦巻いている。

 

【マギ シンジャ】
酒が回って、大変気分がいい。夢見心地の中、窓からは潮風の匂い。そしてくどくどと文句を垂れる声がする。可愛い文官がベッドの横で仁王立ちしている。またも酒で失敗したらしい。しかし今日はまだ夜で、つまり女性には手を出していなくて、その上可愛い文官がそこに居る。堪らなくなって名前を呼び手招きをする。怒っているんですからね、禁酒ですからね。わかったわかった。ああもう仕方がない王様ですね、と声が撫でる。

 

【ディバゲ アリシュレ】
手記を読んだ。初恋初恋初恋、純愛。ひどく恥ずかしくて、そのくせ淡々と事実であることが記録された手帳。読んだよと本人に告げても大したリアクションは返らなかったので、やはり淡々とした事実なのだろう。恥ずかしいラブレターみたいな記録。分からないなあと首をかしげる。あの日彼は僕になにを見出したのだろう。全く分かりやしないが、少しだけ可愛いなと思った。ずっと一途でそのくせ人違いを起こす、そんなところを。

 

【XY カルセレ】
バトルを終えたポケモンたちのブラッシングをしながら、私たちは語らう。あの指示が良かった、あの技の調子がよさそう。ここはもっと改善できそう。砂埃を落として、毛並みを整えて、泥をふき取りながら言葉は会話は弾む。それが私たちのデート。友達には、それでいいの、と聞かれてしまう。デートってもっとあるでしょ、って。けれどこれが私たちの形。私と彼とポケモンたち。好きだけれど、それでもライバルだもの。

 

【ロードラ クロジュリ】
ここはとっても居心地が良い。一つ、飯があたたかい。一つ、広い浴室がある。一つ、分厚い毛布がある。一つ、定時連絡以外の監視の目がない。一つ、上司が情に厚くてなんだかんだ許されてしまう。いや最後の一つは居心地が悪いか。人の素上を知ってか知らずかお人よしだ。。怒るくせに怒るだけ。懲罰も減俸もなにもない。この人のそばに生れたらどのような人生だっただろう。獣の耳を眺めながら不毛な妄想をし、昼寝を始める。

 

【ロードラ ブラロド】
主のお言葉以外必要ありません。そう断言するも諭される。君はそう言って私の言葉もあまり聞いていないではないか。などとため息を吐かれる。私のためにそこまでしなくても良いし、君は君の好きなことをしたらいい、ここを出て行ってもいい、人間なのだから。その言葉を反芻し意味を考える。主に仇なす存在は、この世に必要ありません。そう答えると眉を寄せられる。問答は平行線だ。この身はとっくに人ではないというのに。

 

【ディバゲ ヴラオベ】
心残りがあるか、と訊かれ思い浮かぶのはあの顔だ。白の似合う、優しくて気高い綺麗な男。その他に心配事などありやしない。全ては出来る部下に任せてきた。部下に恵まれた。間違いなく上手くやるう。そうした時、あの顔が浮かんで離れない。唯一自分と向かい合う、対で遠い場所に居る男。立場上一人を特別に想うことなど出来なかった。けれど今なら。全て託し、思うは残り一つの今ならば。全てを賭けることだって、できる。

 

【ユーリ ヴィク勇】
宝石が氷の上を滑っている。音を立て氷を削る様はダイヤモンドダストのように美しい。ほぅと溜め息を吐く。そろそろ休憩にしよう。大きく手を振ると宝石がこちらを向いて、人間の姿に戻る。表情を緩ませてこちらに向かってくる。うん。と返事がある。となりを歩く人間の彼も、ちかちかぴかぴかと瞬いて綺麗だ。まじまじと眺め、にこにこと笑っていれば、変な顔、と言われる。そんなことを言うのは世界中を探しても君くらいさ。

 

【V3 百王】
となりで嘘つきが何か言っている。取り合うことが面倒で聞こえないふりをしてやり過ごす。そもそも何勝手に人のとなりに座っているのか。呆れて頬杖を突く。ちゃんと聞いてよね、と頬を膨らませながら覗き込まれる。何も知らなければ可愛い顔だ。へーへー、と相槌を打つ。それで満足したのか、初めからこちらに何も求めていないのか、再び話が始まる。そして突如、好きだよ、と爆弾が落ちる。どうせ嘘だろなんだその顔は。

 

【グラブル ルシサン】
珈琲の匂いがする。中庭であの人が呼んでいた。穏やかな空の色がこちらを向いている。日陰から飛び出して駆け寄って、招かれるまま向かいに座る。他愛もない会話を交わしながら珈琲の抽出を待つ。また新しく改良を加えたのだと教えてくれるその声をゆっくりと聴く。呼ばれることは嬉しい。楽しみを共有してもらえることも嬉しい。けれど貴方の役に立ちたい、となりに立ちたい。たったそれだけ。それだけの幸せでいいのに。

 

【ヒロアカ 爆轟】
棚ぼたのようにご相伴にあずかることに成功した夜食。文句を言いながらも目の前に置かれたうどんは大層美味しかった。うまいと褒めちぎるも大した反応はない。ウルセェ、さっさと食え。それでも存外居心地がいいのは、言葉の割に静かな声をしていたからだろうか。つるつるとうどんをすする。汁まで飲み干して箸を置き、ぽけっと息を吐く。笑い声が聞こえた気がしてと顔を上げる。間抜け面。そう言う珍しい表情がそこにあった。

 

 

(ちょっと解説)

人外×人外→1 人外×人間→4(ディバゲは種族なので除外)
同い年→7(綾主含む) 年上×年下→3(人外除外)
主従→2 片方でも死んでいる→5(生存ルートあり除外)
一見不仲→6(しづ判定)
本をだしたことがある→7 何かしら書いたことがある→14

掲載はなんとなく時系列順です。ジャンプに始まりジャンプに終わっていた。